桝郷春美のブログ

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フリーランスのライターです。執筆記事や日記など。

2021-01-01から1年間の記事一覧

"Here is Bebop, Izuru Azuma quartet"

「がんばるでぇ」。ライブの前、その人は電話口の相手にそう伝えて、いざステージへ。さっきまでのフレンドリーさが消え、目つきが変わった。 ふっと一音。それだけで、すぐにその人特有の音とわかる。その場に二ューヨークの路上の空気が漂う。ここは日本、…

雑誌掲載:『暮しの手帖』15号「わたしの手帖 オリジナルでいこう」

11月25日に発売日を迎えた『暮しの手帖』第5世紀15号。巻頭6ページの特集「わたしの手帖 オリジナルでいこう」の取材・文を担いました。森岡素直さんと中井敦子さんとの出会いに心を突き動かされ、『暮しの手帖』に提案したのは、かれこれ1年ほど前のこと。…

「ウチナーンチュか?」

アマのシマに、やっと行けた。尼崎の戸ノ内にある沖縄家庭料理屋「より道」へ。店内に入って間もなく、ほぼ同じタイミングで一人の女性が入ってきた。「ウチナーンチュか?」その人は、入るやいなや、お店のお客さんにそう声をかけられていた。沖縄の人とわ…

自転車 Season 2 - 霜月

なじみのジャズ喫茶のマスターたちとの滋賀サイクリングに、久しぶりに参加できた。今回、目指すは三上山、希望が丘。 国道をまっすぐに走ると早く着いてしまうからと、あえて遠回り。いつもの感じで、即興で走るマスターについていく。田んぼの十字路を走り…

雑誌掲載:『AERA』「はたらく夫婦カンケイ」

週刊誌『AERA』10/11号、巻末の「はたらく夫婦カンケイ」で取材・執筆しています。ご登場くださったのは、池上恵一さん(マッサージ芸術家)と池上カノさん(「英語教室」主宰)ご夫妻。 望みを相手に伝えてみる。シンプルなことだけど、なかなかできなかっ…

Walkin' About 水無瀬

この2カ月ほど、ずっと「開く」ということを考え続けている。自分を開く、場を開く、可能性を開く。開くって、いったいどういうことだろうか、と。 かれこれ4年になるのかな。大阪と京都の間にある島本町に通うようになったのは。きっかけは、前の職場のもと…

移民日記ーー時のこえ

入賞の知らせが届いた。この春、たまたま新聞で「文芸社×毎日新聞 第4回人生十人十色大賞」という公募を見つけた。短編部門に応募した。それが入賞作30点のうちの一作に選ばれ、来年、合同作品集として全国出版されるらしい。経費は出版社負担で。アメリカの…

自転車 Season 2 - 文月

夜の神社を怖いと感じなくなったのは、なじみのジャズ喫茶のマスターが案内してくれる真夜中のサイクリングの味を知ったから。湖東の平野を走る。ジャズと同じく即興で道を行くマスターの背を追う。国道から田園のあぜ道に入ると、山間からお月さんが顔を出…

雑誌掲載:『AERA』「はたらく夫婦カンケイ」

週刊誌『AERA』7月19日号の「はたらく夫婦カンケイ」で、Milletの隅岡樹里さんと敦史さんを紹介しています。 京都の静原に暮らし、自宅でお店を開いているお二人。樹里さんは予約制のランチを出して、敦史さんは石窯でパンを焼き、無農薬の野菜を栽培されて…

ミクロな仕組み

やっと行けた水無瀬。町長選以来、約3カ月ぶりに訪れた島本町は、本来のゆるりとした空気に戻っていた。みんなの心の拠り所になっている「はせしょ」こと長谷川書店水無瀬駅前店に浸り、選挙事務所から一転してコミュニティスペースの実験場として活動を始め…

語らいのひとかけら

言葉に縛られなくていい、ことばはもっと自由なはず。産んだ人が自動的にお母さんになるわけではない。産んでない方が自動的にお父さんでもない。そんなかぞくの形だってあるよ。性がゆらいで生きている人だっている。どちらかではない、ただ、わたしはわた…

木曜ごはん

にゃんだ、この幸福感の漂いは。なじみのジャズ喫茶。おなかを空かせたノラ猫のように店内へ入った。このお店の常連になる特におっちゃんたちは、なぜかそんな人が多い。私も自覚がないままに、その仲間入りしていたと気づいたのは最近のこと。 扉を開けて中…

自転車 Season 2 - 皐月

5月の湖東は、ほのかに甘い風の香りがする。収穫期を迎えた麦。風に身を任せて揺れるわ揺れる、スウィングしまくり。バックバンドは鳥のさえずり。一緒に踊ろっかな。こんな広大なステージはそうないで。 黄金色の麦畑が広がる十字路が休憩地点。地面に寝っ…

こわれても土に還る

DIY

大見村を再訪した。京都市内にある、廃村になった村。 もと住民の子孫の藤井康裕さんが移住し、もう一度、人の集まる新村としてよみがえらせたい、という藤井さんの思いを核にして有志が集って「大見新村プロジェクト」が始まったのは2012年。 私は以前「パ…

カラスの絵描きさん

カァと鳴かないカラスがいると教えてくれたのは、ジャズ喫茶でたまたま隣になったおっちゃん。 おっちゃんは絵描きさん。コモリさんという。白いハット、両サイドにふわっと広がる白髪ヘア、グレーのスカーフを巻いて、白いロングシャツにカラスのシルクスク…

雑誌掲載:『AERA』「はたらく夫婦カンケイ」

週刊誌『AERA』5/3-10合併号の「はたらく夫婦カンケイ」、写真をはじめ面白いページになっていると思います。 取材させてもらった大関はるかさんと山見拓さんは、有限会社ひのでやエコライフ研究所で働く同僚。家族という「チーム」を作る考え方、交際無しに…

明暗とは異なる黒の世界

DIY

Reminders Photography Stronghold京都分室パプロルへ。町屋の内部を解体し、ギャラリーにするのに改装工事が進んでいる。柿渋とベンガラを使った天井塗りに参加した。 この作業が、ほんまに気持ち良かった。手を動かすうちに黒に吸い込まれていき、雑念が飛…

ある夕ぐれの時

「夕ぐれの時はよい時。かぎりなくやさしいひと時。」以前、友人に教えてもらった堀口大學さんの詩の一節をふと思い出す。行くなら今日だと思い立ち、再び水無瀬へ向かった4月14日。阪急電車の改札を出ると、聞こえてくる町の音が違う。いろいろな候補者の名…

「リアル『ONE PIECE』みたい」と

友人のパートナーの、すえおか友行さんが町長選に立候補、手伝いに島本町へ。京都との境界にある大阪府三島郡島本町。水と緑が豊かな地、守っていけるかどうかは、今が瀬戸際にあるという。前回はポスティングを、今回は手作りポスター制作を手伝った。レタ…

「オモイの可能性を知る」

重さ約2トン、長さ20メートルのコンクリート製のオンバシラ(御柱)がある。ワークショップで手作りされて、約100人がかりでニュータウンの中を運ばれていく記録映像を見た。 作る、運ぶ、奉納する。その過程を、映像と写真で見せる映像記録展「東ときわ台5丁…

自転車 Season 2 - はじまり

「3月29日、まずはナイトウォークから始めるで」。なじみのジャズ喫茶で告知があり、1カ月以上前から日程をキープ。いきなり自転車には乗らずに、まずは夜のウォーキング in 滋賀。 満月の翌日、十六夜。満開の桜。状況だけで満ち足りる。 「行きまっせ」。…

まち歩き演劇『忘れじの朝』

チンチン電車で、大阪・堺へ。集合場所は、さかい利晶の社。天気予報は雨。ところが上演開始前に青空が広がった。 まち歩き演劇『忘れじの朝』に参加。鑑賞というより、体感としては参加と言った方がしっくりとくる。歌人・与謝野晶子さんが生まれ育った堺の…

和ろうそく

和ろうそく、踊る炎の美しさを知ったサンキューの日

自転車もろた

はじめまして!の自転車。お客さんのお古がめぐってきた。 形も色もかっこええ。解体して(もらって)、まずは掃除。 「自分できれいにすると愛着わいてくるやろ」うん、たしかに。

本紹介記事:人生を変えるきっかけになった一冊

エッセイを書きました。普段書く記事とは違い、私が主語で人生のエピソードをはさみながら文章を書くのは、すこし勇気が要りました。 ですが、私には紹介したい本と、時を経た今だから書ける思いがあったので、編集部からお声がけいただいた時、すぐに引き受…

雑誌掲載:『AERA』「はたらく夫婦カンケイ」

2月22日(月)発売の週刊誌『AERA』3月1日号、巻末の連載「はたらく夫婦カンケイ」の取材、構成、執筆を担当しました。 インタビューさせていただいたのは、鈴木潤さんと扉野良人さん。鈴木さんは、子どもの本専門店「メリーゴーランド京都」の店長で、扉野…

詩:なごみの時間

夜寝る前に詩を読むようになったのは昨春から。近頃どうしようもない心の渇きを自覚し、手に取って読める活字の本や雑誌の中で、ふと出会う言葉が自分への水やりになっていた。 そんな時、友人が詩のオンライン朗読会を開くというので参加に手を挙げた。11名…

「ザ・アメリカーン」なチョコチップクッキー

「おっきくて、ザ・アメリカーン」なチョコチップクッキーは、昔アメリカに住んでいた私にとっては、ソウルフードのような存在。 「ペンとスプーン」編集長の多田千香子さんが、9年前に「世界のおやつ旅」をして本を書いた時、アメリカ・シアトルにも来られ…