桝郷春美のブログ

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フリーランスのライターです。執筆記事や日記など。

自転車 Season 2 - 霜月

なじみのジャズ喫茶のマスターたちとの滋賀サイクリングに、久しぶりに参加できた。
今回、目指すは三上山、希望が丘。


国道をまっすぐに走ると早く着いてしまうからと、あえて遠回り。いつもの感じで、即興で走るマスターについていく。田んぼの十字路を走り抜ける快感や、旧街道沿いの建物の風情の味わい、ふいに現れた鎮守の杜に引き込まれるのも、遠回りの賜物。


と余裕のはずが、山に入ると、上りが続いてバテてしまった。「上り坂はジグザグに走るとええで」。マスターがアドバイスをくれる。どうにか上りきった先に、360度広やかな景色が現れた。芝生に寝っ転がると、もう空しか見えない。その清々しさに、昼間の自転車乗りもいいなと思う。


春から秋口までは、真夜中の滋賀サイクリングが恒例。「耳を大きくして」自然の音を聴く。それがマスター独自の乗り方。夜中に乗るという時点で世間の感覚とは、きっとずれている。外れたところから、面白い世界がグンと広がると知ったのが昨春のこと。出会って2年目にして、その世界にすっかりなじんでしまった。


なじんでからやっと見え始める、奥深さがある、と近頃は感じつつある。


19歳からジャズ喫茶一筋。30代でジャズの写真表現を始め、40歳から夜の滋賀を自転車で走るようになり、すべて今も「続けて」いて74歳の今、誰にも真似できない「オレの道」がある。


「自分が70代になっても、同じように自転車に乗り続けられるやろか」と、ずっと共にサイクリングしてきた50代のミチヨさんが話していた。そうやな。

今きっと、かけがえのない背中を見せてもらっている。力がどこにも入っていない軽やかさと、揺るぎない生きざまの。

 

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