桝郷春美のブログ

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フリーランスのライターです。執筆記事や日記など。

ある夕ぐれの時

「夕ぐれの時はよい時。
かぎりなくやさしいひと時。」
以前、友人に教えてもらった堀口大學さんの詩の一節をふと思い出す。行くなら今日だと思い立ち、再び水無瀬へ向かった4月14日。阪急電車の改札を出ると、聞こえてくる町の音が違う。いろいろな候補者の名前が耳に入ってくる。景色も違う。右に出ても左に行っても、色とりどりの看板を掲げた選挙カーが走っている。

 

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すえおか友行さんと仲間の方々を発見。島本町内をまわって、駅に着いたばかりのタイミングだという。夕ぐれから夜まで、現場で傍に居させてもらう。仲間の一人もマイクを取って話していた。夕方に帰ってくる人たちは疲れている。できるだけ心配りをしながら、道行く人の姿を見て、その瞬間に届く言葉を探している様子。生きた言葉って、こうして作られていくんじゃないかと思った。

事務所に行ってみる。人が出払ってもなお、熱気が立ち込めている。限られた時間の中で何ができるか、精一杯考えて行動する。人から放出されている、そんなエネルギーが空間にも充満している感じがした。

再び、駅へ。近くには、録音されたフレーズを延々と大音量で流している他の候補者も。ふむ、肉体的には省エネ。キャッチーな言葉をリズミカルに語る口調。人の脳に残りやすい仕掛けがあるのか、音の洪水にのまれそう。エモーショナルな言葉使いは意図的なのだろう。冷静さが必要だ。言葉に乗せて伝えるとはどういうことかを考える。

仕事帰りにせわしなく通り過ぎる人、バス待ちの間に演説の声の方へ顔を向けている人、チラシを受け取る人、受け取らない人、選挙権のある人、ない人、遠くから手を挙げてあいさつするおっちゃん、ゆっくりと自分のペースで歩くおばあさん、選挙というフィルターを通して、町の中の生活者一人ひとりの存在が際立って見える。

 

帰り、駅前の本屋さんへ。いつ来ても、ほっとできる場所。ここにも言葉がいっぱい。その時々の状態によって、いつも何かしらの本に出会える。ここで見つけた言葉は、やさしくてたくましいんだ。久しぶりに再会した人と、おしゃべり。勝った人も負けた人も手を取り合っていけたら、100パーセント思いどおりになんてならへんから3割ぐらいがいい方、あとは違いを認め合う、みんながそうやっていられたらいいのにな。そんな話になった。

会話の後、ふいに本棚を自分の目の高さではなく、しゃがんで見てみたくなった。ヤンキー座りになって目線を落とす。すると最下段の本が気になり、それを見るために足元の地面スレスレに頭を近づける。そしたら、これだ!という本2冊に出会った。家に連れて帰ることにした。

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友人が選挙に関わるということで、町の人間でなくても自然とその町に足が向くように。そうするうちに選挙が、ぐっと身近に感じられるようになり、今まで抱いていた選挙のイメージが変わっていっている。さらには「境界」にある町の特性について、興味を抱き始めている。


無所属で町政に初めて挑戦している、すえおかさんをはじめとした仲間たちの行動によって、何かの振動が起こり、種まきがされている感じがする。それは、4月18日の投票日で終わらないものだろう。

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