旅人の感覚

読書と、初校の校正の作業。
京都ではこの場所でやりたかった。
開業から17年、今もずっと旅人を受け入れ続けている五条ゲストハウスのカフェで。

実際に旅に出なくても、旅人の感覚というものがある。
旅人の空気が建物に染みこんでいる、この空間でなら、自分にあるものの中から、旅感覚の回路をつくって、つなぐことができる気がした。

読書。陸前高田の復興の時間の中に身を置いて、土地の暮らしにどっぷりとつかりながらも、旅の人として距離を保つことで、表現活動をしてきた著者の方の、あわいの時間の記録を読む。

校正作業。アメリカで人生の大半を暮らしたひいじいちゃんが生涯にわたって綴った日記を読み、（冊子掲載用に）私が書いている文章。過去と現在のあいだを時間旅行して、日本海沿いの小さな村とアメリカの山奥の村をつなぐ移民の足跡をたぐり寄せることを試みている。

対象との距離感
時間
そんな旅の感覚が、この場所に身を沈ませることによって、開いていく。
ちゃぶ台のあるスペースで、かなり没頭させてもらった。
回路をつくるのはこれから。