桝郷春美のブログ

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フリーランスのライターです。執筆記事や日記など。

離れがたい本屋さん、恵文社バンビオ店

JR長岡京駅を出て目の前にある大きな建物の2階にあるそのお店は、あたたかな光がこぼれている。気にはなっていたけど、なかなか足を運べなかった。閉店、という事実を知ってからは。

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地域の人に親しまれてきたお店がなくなるのは、とてもかなしい。お店に入ったら、その事実を突きつけられるようで、行くのをためらっていた。だけど今日は、自然と足が向いた。入るとそこは、紙の本のにおいがした。これまでよりも、そのにおいが強くなっているように感じたのは、今はそこに古書も織り交ぜられているからかもしれない。関西各地にある15の古本屋さんが、バンビオ店の店員さんになったつもりでセレクトした棚が、店内のあちこちにそっと設けられていた。
ぐるっと一周。次第に心がホクホクしてくる。だってそこは、本の知と、世界の扉と、バンビオ店が好きな人たちの想いが、ひとつに合わさっている空間だから。

ある出展棚では、昔からバンビオ店のことを知る人たちの声を集めた手作りコーナーが作られていた。本屋さんから本屋さんへ綴られた「となりの本屋さん」という小さなお手紙を目にして、涙がこみ上げた。しごとを通じた心の通い合いって、こういうことなんだな。

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入口付近にある、思い出の本コーナーも面白かった。本屋仲間やお客さんが、バンビオ店で出会ったお気に入りの本の数々がメッセージと共に展示してある。思わずときめいた二冊を購入。店内にいればいるほど、本と共鳴してくるのがわかる。閉店を惜しむ声、お店の思い出を語る声。そんな声のいろいろを、お店の方はレジカウンター越しに、落ち着いた様子で聞いている。


2月10、11、12日の最終の3日間は、イベントが目白押し。今は、さよならを悲しむより、体いっぱいに、このお店の空気を吸いに行ったほうがいい。
お店があるうちに。

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