桝郷春美のブログ

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フリーランスのライターです。執筆記事や日記など。

英語版Talkin’Aboutリポート「『農』から見る持続可能性――豪州と日本」

7月18日開催の英語版Talkin’About「『農』から見る持続可能性――豪州と日本」には、11名の方がお集まりくださいました。話題提供者は、オーストラリアから来られたポール・アンソニー・ジュードさん。

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オーストラリアは食料自給率が9割以上でありながらも、その77パーセントを輸出(NFF調べ)している農産物の輸出大国。国が大量生産、大量輸出を加速させている大きな動きと、その陰で農業を続けることがどんどん難しくなっている個人農家の現状について、水不足や気候変動、人口移動などの視点から、多角的に紹介してくださいました。
「農」から見えたオーストラリアの姿。それは、資本主義経済のグローバル化が進んだことによる、水源の奪い合いや、大地の損失、地方の人々の暮らしの不自由さでした。
そうした中で、パーマカルチャーという、持続可能性を追求した農業や生活のあり方を追求する動きが起きていて、ポールさん自身もその実践者です。本来のオーストラリアの土壌に合った形で、原住民の人々が行ってきた農法に価値を見いだし、回帰するような動きもあるそうです。
約2時間の集い中で、とりわけポールさんが喜ばれたのが、参加者の方々との意見交換でした。
米や梅干しなど、昔ながらの和食が好きなポールさん。ポールさんが初来日した25年前と比べて、今は日本人の食生活が西洋化して、米からパンへと大きく変化している現状を憂いていました。今、日本の若者は何を食べているの?と。
まず1970年の減反政策から端を発したことが述べられ、さらに参加者からは、兵庫県丹波市の黒豆栽培の背景にある農家の知恵が紹介されました。そして、地域のエリア・マネージメントを担っている方からは、ご自身が行っている子どもたちに農業体験をしてもらう活動の紹介も。
様々な地域のコミュニティを見て来られた僧侶の方からは、若者の都市部への移動により地方が過疎化しているというオーストラリアの現状に対して、地方のコミュニティがどうなっているのか、という質問がありました。ポールさんからは、土地の広さゆえ、人が集って暮らすという形になりにくく、コニュニティ自体が作られにくいということが語られました。
参加者からは、「オーストラリアは大らかで豊かな国という印象があったけれど、日本と同じような問題や悩みがあることを知った」といった声も。
英語に触れたい人と、テーマに関心のある人といろんな目的で来られた方が集ったことで、意見交換に広がりが生まれた今回の英語版Talkin’About、ポールさん、参加してくださった皆様、共に場を作ってくださって、どうもありがとうございました!