桝郷春美のブログ

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フリーランスのライターです。執筆記事や日記など。

『僕に宛てて』手紙はいいぞう

突然ですが、一冊の本をご紹介します。
『僕に宛てて』 ことば 渕上純子、え デュフォ恭子(湯気カンパニー・2017年)
これは絵本です。読み終わった後、誰かに手紙を書きたくなるかもしれません。私も、この本に出会ってから、手紙を書くようになりました。日常の中で「手紙はいいぞう」というシーンが、ふいに脳裏にうかぶようになったのです。メロディ付きで、リスのちょっぴりとぼけた顔とともに。
2017年12月に、「湯気カンパニー」という小さな出版社から生まれたこの絵本のルーツは約20年前、アフリカにあります。歌が生まれ、絵が描かれて、歌と絵がセットになった動画から絵本が作られたのです。
初めは「ことば」。京都を拠点に音楽活動を行うデュオ「ふちがみとふなと」のボーカル、渕上純子さんが20代半ば、アフリカに行った時に、旅先で出会った人から手紙の良さをアツく語られたそうです。音楽活動を始めて何年目かに、突然、あの時の言葉が歌になって出てきて「僕に宛てて」という歌が生まれました。手紙を書かなかった後ろめたさを感じつつライブで歌ったら、また聴きたいという声が上がってCDに収録することに。
「え」が描かれたのは、その後、コートジボワールで。CDを作って何年か後、渕上さんの元に突然、「『僕に宛てて』をムービーにしました」というメールが届きました。デュフォ恭子 #KyokoDufaux さんという、当時コートジボワールに暮らしていた画家の方が、歌にほれ込んで自主的に作ったそう。その動画が、僕に宛てて fuchigami - Bing video


「えほん」は、そのまた何年か後、今度は歌と絵の一致に魅了された「湯気カンパニー」の編集者さんが、その動画をもとに絵本を生み出しました。旅先での出会いから、20年の年月を経て、国をまたいで生まれた一冊の絵本。この絵本と出会った人々の中で、手紙を書くという小さな動きが起きています。
この絵本は、「ふちがみとふなと」月一ワンマンライブ(京都・木屋町「わからん屋」)や、長谷川書店水無瀬駅前店、ホホホ座、ほか書店などで販売されています。