桝郷春美のブログ

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フリーランスのライターです。執筆記事や日記など。

5月3日、阪神支局

5月3日。この日は、ほぼ毎年、朝日新聞阪神支局に訪れている。襲撃事件から31年が経つ今日も、展示室には多くの人々がいた。
29歳で犠牲になった小尻知博記者の遺影に焼香し、展示を見る。この場に身を置いて感じることは毎年違うのだけれど、GWの最中にどうして通い続けるのか考えた時に、ある人の存在が大きかった。
元記者の狩野誠一さん。事件当時、専従取材班の一人で、今も語り部をされている。朝日新聞大阪本社で一時期、働いていた時、この方が職場にいた。この日の展示のことを誰よりも気にしておられ、準備にいそしんでいた。父と同年代ぐらいの、ふだんは気さくな“おっちゃん”。いつも黒いシャツに黒ズボン、ビール腹がトレードマーク。
展示に行くと、いつも近くの公園で束の間おしゃべりをする。近況や、語り部のご苦労や、個人的な気持ちいろいろ。一年に一回、約束せずとも行けば会えるこの場所で、今日は初めて狩野さんに会えなかった。終日いることが、体力的にきつくなってきたそう。会えなかったからこそ考える、「人の命を一生懸命考えること」と語る狩野さんのまなざし。
5月3日、阪神支局。
一年に一回、自分の書いて伝える姿勢を問う日。
そして、書き続けることを誓う日。

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