水俣へ、野生の旅

初めての水俣。2泊3日のほとんどを山で過ごした。水俣の7-8割方は山や森。「野生」という言葉に魅かれ、未知の世界にエイヤッと飛び込んでみた。

自然林90年、人の手が入っていない森に入った。落ち葉がふわっとやわらかい。暗くなると、菌の光が見える夜があるという。落ち葉に生息するバクテリアが、半月の薄光に反射して輝く。これは自然林が残っている森だったら、水俣に限らず見られるそうだ。

山の上流も、不知火海も、眺めていると心まで透き通るようで、とても美しかった。古来から、不知火海は母胎のような生命力に満ちた神聖なところであること、そして水俣病は現在も続いていることを知った。

枠から外れて、人間という生き物の面白い世界の広がりに浸った3日間。そこで、葉っぱのバクテリアみたいに、小さく反射できる光の可能性を見た。

じわじわと発酵していくのは、旅を終えてからの、これから。