桝郷春美のブログ

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フリーランスのライターです。執筆記事や日記など。

ふまれて、強くなる麦

「大見新村プロジェクト」の麦ふみ、石釜づくりのワークショップに参加。約1カ月前にまいた麦が芽を出し、10センチほどの長さになっていた。せっかく発芽した苗を踏んでもいいの…? どきどき。踏まれることで傷つけられた新芽は、そこから必死に枝分かれして増えていくらしい。麦って、そうなのか…。へぇ~。では遠慮なく、ふみふみ。苗がねそべっていき、土を緑色に染めた。

 

石釜は、山にある素材を使ってつくった。まずは川から石をたくさん運んだ。平たい石、長い石、大きな石、小さな石。いろんな顔ぶれ。お店が開けそうなくらい。土も運んだ。何往復もして土の山ができた。その土をつかって粘土づくり。土をふるって、石灰と水をかきまぜる過程は、お菓子づくりみたい。実際は、結構な肉体運動だ。慣れてきたら動きにリズムがついてきた。労働から民謡が生まれるのは、こんなときなんだろうな、なんて話をしながら、初対面のメンバーとの作業の息も合ってくる。

傍らでは別のメンバーが、石を積み上げるのに試行錯誤している。完成形をイメージしながら、石を吟味、一つひとつパーツを組み、隙間を粘土で埋めていく。段々と石が積み上がり、かまどの形に近づいていく。仕上げはみんなで石釜の表面に粘土をぺたぺた塗っていく。ラストスパートだ、ついでに模様もつけてしまおう。みんなのテンションが高くなる。

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昼食とおやつ(おいしかった!)をはさんで約4時間ほどで石釜が完成。なにもないところから、山にある素材を使って石釜ができた!協働作業ってたのしい!ものづくりの達成感、気持ちいいぞ!


コンクリートなど外から持ってきたもので石釜を作ると、こわれたときにそこでゴミになってしまう。だけど、山にあるもので作れば、こわれても土に還る。土はコンクリートにくらべてこわれやすいけど、もしこわれてもまた作ればいいんです、と講師のゆうきさん。


夕方、畑のほうを見ると、ふみつけられて土にクタッと横たわっていたはずの麦の苗が、すっくと起きていた。うわぁ~。麦の生命力って、すごいな。励まされた。土や、虫や、光や、水や、いろーんな力を借りながら、ぐいっと顔を出した麦の芽。踏まれて傷つけられても、じぶんの力でふたたび立ち上がって、天に向かって背筋をのばした。なんて、たくましいんだろう。麦の生命が、土から地上にたちのぼって、キラキラ輝いて見えた。


これから冬が到来する。麦は、踏みつけられた傷を糧に、そこから生きよう、生きようと、必死に力をつけていく。6月の収穫まで、がんばるんだぞ、麦。

 

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